地元が好きな人におすすめ!|医学部の地域枠推薦について

地元が好きな人におすすめ!|医学部の地域枠推薦について

医学部の地域枠推薦の概要

大学の医学部の中には、地域枠推薦を導入しているところがある。
初めて聞く人もいると思うが、対象を特定地域の在学者や出身者に限定した推薦方法だ。

指定校推薦のように出願条件はあるものの、合格率はかなり高いのがポイントである。
詳しい内容については後述するが、もし条件を満たしているなら検討してみても良いだろう。

ただし、地域枠推薦は様々な制約があることから癖が強く、向き不向きがきっぱりと分かれてしまう。
あくまで地元が好きな人や、地域医療に貢献したい人向きの推薦方法だ。
逆に都市部の大規模病院や、人口が多い地域で働きたい人には適さないだろう。
海外を見据えている人も注意が必要だ。

基本的には大学がある地域出身の生徒しか受験できない

初めに説明しておきたいのが出願条件だ。
地域枠推薦は、文字通りその地域出身の生徒が対象となる推薦方法である。
その大学が立地する地域の出身者か、地域にある中学・高校の生徒でなければ出願できない。
これが一般推薦など他の入試方法との大きな違いだ。
ちなみに指定校推薦は学校が限られるが、出身地域は特に問われない。
逆に地域枠推薦は地域が限られているため、基本的に地元出身者のための制度と考えておこう。

また、大学が立地する地域の病院で働く意思がある人も出願できる場合がある。
例えば出身は東京だけど東北の僻地で医療に従事したい、というようなケースだ。
このような意志を持つ人も対象になる可能性があると覚えてほしい。

ただし、上記2つの条件を満たさないと出願できない大学もある。
具体的な出願条件は大学次第なので、事前にチェックしておいてほしい。
条件に当てはまらない場合もあると思うが、その時は一般推薦や一般入試で受験しよう。

卒業後に大学がある地域で指定された年数働く義務がある

冒頭で地域枠推薦は癖が強いと書いたが、その理由がこれだ。
地域枠推薦では、大学が立地する地域の病院で一定年数働くことが義務付けられている。
卒業後はその地域を離れ、都会や海外へ行く人も少なくないだろう。
確かに一般推薦などを利用すれば、卒業後はどこで働くのも基本的に自由だし、海外へ留学するのも良い。
だが、地域枠推薦ではそれができない。
推薦を受ける以上は地元の医療に携わる必要があるからだ。

地域枠推薦は、大学にとって地域貢献の側面を持つが、それと同時に地域医療を担う医師の育成も兼ねている。
特に地方は医療格差が大きく、診療所すら無い集落も少なくない。
僻地は更に悲惨だが、こうした状況改善のため、地域枠推薦には条件が定められているのだ。

もしこの条件が呑めない時は、一般推薦など他の方法を選ぶしかない。
特定の地域で働きたいとしても、むしろ地域枠推薦にこだわる必要がないだろう。
他の方法で医学部へ入学すれば良いだけだ。

一般推薦・AO・指定校の中では一番合格する可能性が高い

一方で、地域枠推薦は他の推薦方法にない大きな強みがある。
実は最も合格できる可能性が高いのだ。
上記のような制約があるものの、確実に合格したいのであれば、地域枠推薦を積極的に活用する余地がある。

では何故合格率が高いのか?その理由は募集方法が影響している。
例えば一般推薦の場合、条件が優しいためか出願する人は非常に多い。
一般入試よりも倍率が高い大学すらあるほどだ。
定員は限られているのにライバルが多いため、合格を勝ち取るのが難しいといえる。

また、AO入試は定員が少ないうえ、学力以外の様々なスキルが求められてくる。
そして指定校推薦は特定の学校(特に付属校)に通っていないと出願できないし、選ばれるには優秀な成績が求められる。

このような状況のため、相対的に地域枠推薦は合格率が高まるのだ。
それに志望する人が少ないことから、合格しやすい推薦方法といえるだろう。

地元が大好きな人や僻地医療に興味がある人は受験してみる価値がある

独特の制約や条件が定められている地域推薦枠だが、地元が好きな人は挑戦してみる価値がある。
もちろん学力は試されるが、基本的な合格率が高いし、卒業後の制約も決して苦にはならないだろう。
地域推薦枠を導入している医学部は非常に多い。
このため、地元の医学部が募集しているケースも珍しくないだろう。

また、僻地医療に携わってみたい人にもおすすめだ。
地方の僻地は医師不足が喫緊の課題になっており、地域間で医療格差も生じている。
そんな状況を改善したいと熱意を持っている人は、地域枠推薦を検討してみると良い。
僻地医療はやりがいも大きく、様々な経験を積むことができる。
挑戦する価値は十分にあるだろう。

都会の病院で働きたい人や海外留学を考えている人には向いていない

一方で、東京や大阪などの大都市の病院で働きたい人や、卒業後に海外留学を検討中の人には適さない。
地域推薦枠は主に地方の大学が募集しているし、先述の通り数年間はその地域に拘束されてしまう。
いずれにせよ、自分のライフプランに狂いが生じる可能性が高い。

定められた数年間を地方の病院で勤務し、その後都市部の病院へ転職したり、海外留学をする方法はある。
だが、その数年間は非常に長く感じるだろう。
地域推薦枠によほどのこだわりがない限りは他の方法を選ぶべきだ。