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2.Fill inとは?


fill in 用の写真1

フィルインとは。
それは音を使った言葉のやり取り。

ある人が
「今日はいい天気だねー」
と言いました。
それに対するこたえ方として、
「そうだね、今日はいい天気だね。」
と同じ言葉を使って答える。
「そうだね、暖かくていいね。」
と別の言葉で同じような意味。
「うん、ところでメシ食いに行こう。」
と話題を変える。
「うるさい!!!」
と怒鳴る。
「・・・(無視)」
などなど色々な受け答えの方法があります。

この受け答えがフィルインです。

ほかにもフィルインらしい言葉をあげると、
「あ、そーれっ!」
「よっ!日本一!」
「もっとやれー!」
「いいぞーっ!」
「やめろーっ!」
「まだまだ!」
「もういっちょ!」
「ふーん・・・」
などがあり、場を盛り上げたり下げたりするのに役立ちます。

音楽上でどうなるのでしょうか。
それではまず、合いの手を入れるところからはじめましょう。

♪その1(合いの手型フィルイン)
ソロ奏者のフレーズの切れ目に、すかさず「パシッ!」と
スネアドラムの一発。
これなんかは
「よっ!日本一!」
「それからどうした!」
の掛け声と同じ効果で、音楽はさらに盛り上がります。

さて、合いの手だけでは物足りない方は・・・

♪その2(模倣型フィルイン)
ソロ奏者やバッキング奏者や周りのすべての音(電話の音)など、
瞬間、瞬間で何か印象的なフレーズ、リズム、音があったときに、
それを自分なりに繰り返す、まねしてみる。
「いい天気だねー。」
「そうだね、いい天気だね。」
のようなもの。

さて、「他人のまねはイヤだ、私の人生は私が決める!」
とさらに自己主張の強い方は・・・

♪その3(提案型フィルイン)
「こういうのもやってみない?」
もしくは
「いい天気だねー。」
「うん、ところでメシ食いに行こう。」
「君はそう言うが、ぼくはこう思う。」
等、その2と同じ状況にあるが、繰り返し、まねはしない。
曲を盛り上げたり、盛り下げたり、違うリズムやテンポ
(倍テンポとか)にと、音楽の流れを積極的に変えて行くことが出来るでしょう。
「つぎはー、サビー、サビー、サビでございまーす!」
もしくは、
「つぎのリズムはー、4ビート、4ビート、4ビートでございまーす!」
と電車の車掌さんが言っているのと同じことです。
ただし他の奏者が同意してくれない場合もあり、 ちょっと恥をかくこともあるかもしれません。

さて、もっと自己主張したい方、ナルシストの方、

♪その4(割り込み型フィルイン)
こんどは
「いい天気だねー。」
と言うほうの役です。 自分が言い出しっぺになります。
これには色々な状況が考えられます。
だれかが話していたり、話し合ってるところに割り込んでいって自分の意見を言うこともあるでしょう。
こんな例もあります。
「あのさー。俺ってのはさー、いままで生きてきて、なんかこう喜びってものがー、あってさー、
それがさー、悲しみに変わっちまってよー、俺ってやつは・・・」
と自分のことをブツブツしゃべり続けるヤツに、
「うるせーぞおまえ、俺なんか・・・カミサン家出ちまってよー、・・・」
このウダウダ、タラタラと自分のことをしゃべり続けるところ、
お互いの悲しみをかたりつつ、話し込んでしまったり。
いやー、ブルースですね。
ある意味ジャズのアドリブソロ、フィルインのやり取りにもそっくり(?)。

しかしこのやり取りにうんざりしてしまったあなた、
「おめー、ソロ長すぎんだよ!」と思ってしまったら。

♪ その5(破壊型フィルイン)
ドラムというのは音量の出せる楽器でであるがゆえに、
良くも悪くも音楽の流れの主導権は常に握ることができます。
誰かに
「休め!」とか
「ハウス!」とか
いわれてしまった場合はおとなしくするしかないのかもしれませんが・・・
ソロ奏者のソロが気に食わない場合、
ドラマーのでかい一発ですべての音を掻き消すことができます。
「何が言いたいんだコイツ!」とか
「ヘタクソ!」
とか思ってしまった場合、
全身の力をこめてシンバル二枚とバスドラムを鳴らしましょう。
連打はさらに効果的ですが、それよりも効果的なものに、演奏をやめてしまうというのがあります。
思いが伝わることもありますが、バンドをクビになることもあります。

さて、エゴ丸出しにしたい方、

♪ その6(宗教型フィルイン)
言いたいことを言い続けることです。
周りの信者はあなたに熱い反応をしてくれるでしょう。
あなたを教祖と崇める人のみバンドに残ることになりますが。
こんな状況でも調和さえとれていれば音楽には聞こえますが・・・

と、
まー簡単に(?)説明させていただきました。

便宜上6つに分けましたが、実際には複合的に使われています。
皆様、感覚的にはおわかりいただけたのではないかと思う次第であります。
*         *         *         *         *         *
音楽というのは「パターン」の集成の結果ではありません。
言葉のやり取りのように自然に流れていくべきものです。

ところが
実際はまだまだ「パターン」に縛られたままの考え方をする人が多いようです。
fill in用の写真2
これはどういうことかというと、

ある曲を演奏しようとした場合、
まず、「4ビート」とか「サンバ」といったリズムパターンを設定し、
セクションの変わり目など要所要所にそのリズムに沿った
フィルイン(の「パターン」)を選択する。

という考え方が
あたりまえの風潮のようになっています。

音楽を「パターン」に分けて考えるのは、
単に分析や説明がしやすくなる、
という第三者から見ての便宜上の問題にほかなりません。
日本でジャズといえばだいたいのところ「ビバップ」の事を指しますが。
この手の音楽の中には、
このフレーズやフィルインをやると「ビバップ」っぽくなる、
という常套句がたくさん存在します。

もちろん、それらを理解することはとても大切です。

しかし周りの状況に関係なく
「次はこのフィルイン、その次はこれ・・・」 のような
切り貼り的で他の奏者の内容などお構いなしのドラマーを最近多く見かけます。
他の楽器奏者にも多いですね、
「このコードにはこのフレーズ、次のコードにはこれ・・・」
といった感じで、前後のつながりがまったく感じられないものです。

切り貼り的アイディアで演奏するというのは、いくら技巧があっても、
音楽としてはちょっとさびしいものになってしまうでしょう。

また、左手スネアドラムをただ惰性的に(ビンボウゆすりのように)叩き、
音を垂れ流し続ける人も多く見かけます。
「意味をもった音」
でない音には何の説得力も無く、人に伝わらない音です。

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今回のビデオはそんなことを考えつつ作りました。

ただ演奏しているだけです。
音楽を演奏しているありのままの姿を見てもらうのが目的です。
作為的や意図的なデモンストレーションは一切していません。
したがって、迷っているところも失敗しているところもあります。
しかも、最高のミュージシャンを集めることが出来ました。

彼らとはもう長い事バンドとして活動させてもらっています。
コピー譜も参考にしていただきたいですが、
あくまで譜面は目安です(採譜は大変でしたが)。

微妙なダイナミクス、タイミング、ナマリを再現するのは不可能です。
同じ譜割でまったく違う歌い方というところもいっぱいあります。
最終的には耳でその違いを判断してください。
私以外のメンバーの演奏をヒントにするのも良い方法です。

もし、あなたが私の代わりにこのバンドのドラマーだったとしたらどうでしょう。
「私ならここはこうする・・・」
「ここはこう盛り上げる・・・」
と考えてみるのはどうでしょうか。

譜面づらを追うようなコピーよりも、
音楽しようとする姿勢を理解してもらうことを望んでいます。

岩瀬立飛はあなたがあなた自身であるように演奏する事を願っています。
ぜひあなたの言葉を探してみてください

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